離婚の取決めが守られないとき 義務の種類ごとに対応を選ぶ

離婚

離婚の合意後に、支払が止まった、登記に協力してもらえない、子どもとの交流が実施されないという問題が起こることがあります。対応は、約束の内容と、どの書面で取り決めたかによって異なります。すべてを同じ方法で解決できるわけではありません。

まず合意書や調停調書を確認し、相手が何をいつまでに行う義務を負っているかを特定します。そのうえで、任意の履行を求める方法、家庭裁判所の履行勧告、強制執行、追加の裁判手続等を検討します。[1][2]

この記事の内容

元の書面と実際の不履行を対応させる

離婚協議書、公正証書、調停調書、審判書、判決書などを集めます。似た名前の書類でも効力や必要な手続は同じではありません。コピーだけがある場合は、正本等をどこに保管したかも確認します。

次に、条項ごとに期限、内容、実際の履行状況を書きます。「約束を全く守らない」という説明ではなく、何月分がいくら未払か、どの書類の提出が止まっているかを具体的にしてください。

書面の条件が曖昧な場合や、口頭で変更した経緯がある場合には、その点自体が争いになります。変更時のメッセージや入金記録も残し、元の合意と現在の認識の違いを整理します。

金銭の支払は未払額と回収方法を確認する

養育費、婚姻費用の清算、慰謝料、財産分与など、支払の種類を分けて計算します。毎月の義務なら、期限、予定額、入金額、差額を一覧にします。一部入金を無視して請求額を計算しないようにしてください。

調停調書や一定の公正証書など、執行に利用できる書面がある場合は、給与や預金等への差押えを検討できます。ただし、書面があるだけで自動的に入金されるわけではなく、対象財産や必要書類の確認が必要です。[2][3]

養育費については、2026年施行の制度も踏まえ、先取特権に基づく手続等が利用できるかを確認します。普通の解決金や慰謝料と同じ扱いではないため、債権の種類、取り決めた内容、支払時期を個別に整理してください。[2]

履行勧告を使えるか確かめる

家庭裁判所の調停や審判等で決めた事項については、履行勧告を申し出ることができます。家庭裁判所が必要な調査をして相手に履行を促す制度で、利用に費用はかかりません。[1]

ただし、勧告に応じない相手へ履行を強制する力はありません。また、公正証書や私的な合意書だけで取り決めた事項について、同じ制度を当然に利用できるわけではありません。どこで取り決めたかを確認します。[1]

勧告を待っている間にも生活費が不足する場合や、相手が財産を処分しそうな場合には、その事情を早めに相談します。まず勧告をしなければ一切ほかの対応を検討できない、と一律に考える必要はありません。

不動産や物の引渡しは内容を具体的に見る

不動産の名義変更、退去、鍵や物品の引渡しは、金銭支払とは異なる義務です。対象となる不動産や物が特定されているか、履行期が来ているか、相手の協力がどの部分で必要かを確認します。

例えば「自宅を譲る」という条項だけの場合、ローン、登記、費用、引渡しの条件が曖昧なことがあります。公正証書があるから同じ書面で明渡しまで直ちに執行できる、と判断しないでください。[3]

相手が退去しないからといって、無断で鍵を変えたり荷物を処分したりすると別の紛争になるおそれがあります。合意の効力と必要な裁判・執行の手続を確認し、自分だけで実力行使しないことが重要です。

子どもに関する義務は安全と利益を中心に考える

親子交流が実施されない場合は、合意した頻度、日程の調整方法、受渡し、実施できなかった理由を整理します。単なる連絡の行き違いなのか、子どもの体調や拒否、安全上の問題なのかで検討事項が異なります。

具体的な条項の内容によって利用できる手続が変わるため、合意書の文言を確認します。子どもを無理に連れ出す、相手の住居へ押しかけるといった対応は避けてください。現在の条件が子どもの状況に合わない場合は、変更の協議や手続も検討します。[4]

養育費の不払を理由に交流を一律に拒む、交流できないことを理由に養育費を止めるというように、異なる問題を交換条件にしないことが大切です。子どもの生活と交流のあり方を、それぞれ具体的に検討します。

連絡と手続の順序を決める

任意の履行を求める連絡では、対象の条項、不履行の内容、求める対応、返答期限を簡潔に示します。長い非難の文章より、何をしてほしいかが明確な書面の方が、その後の確認にも役立ちます。

相手から事情の説明や変更案が出た場合は、根拠と実行可能性を確認します。変更に応じるときには、元の義務をどこまで変更するのか、未払分をどうするかを書面に残します。安易な免除や清算条項へ署名する前に意味を理解してください。

請求には時効や手続上の期限が問題になることがあります。相手の返答を待ち続けず、義務の種類と発生時期に応じて期限を確認します。DV等で連絡が危険な場合は、代理人を通じた対応を検討します。

札幌・手稲で離婚後の約束が守られず困っている方は、取り決めの書面と履行状況の記録を持参してご相談ください。義務の種類に合わせ、回収、履行、条件変更の方法を検討します。

不履行を種類別に記録する

金銭の支払は月別の表、登記や引渡しは必要作業と期限の表、親子交流は日程と実施状況の表に分けると整理しやすくなります。異なる義務を1つの非難の文章へまとめず、それぞれについて何を求めるかを明確にしてください。

例えば、支払は一部行われているが登記の協力が止まっている場合、すべてが不履行と記載すると事実とずれます。履行済みの部分と残る部分を区別します。こちら側に同時に行う義務や先に用意すべき書類がないかも確認してください。

相手との連絡は、送った日、方法、内容、返答の有無を記録します。電話だけで話した場合は、直後に要点をメモします。連絡回数を増やすこと自体を目的にせず、次にどの条件なら協議を続け、どの時点で手続へ進むかを検討します。

相手から新しい合意案が出た場合、元の未払分を免除する条項が含まれていないか注意します。支払猶予、分割への変更、一部免除はそれぞれ異なります。今回どこまで変更し、どの義務は残るかを双方が理解できる書面にすることが必要です。

執行を検討する場合には、相手の住所、勤務先、金融機関等について分かる情報と、その情報を知った時期を整理します。相手の財産を特定できないからといって直ちに回収不能と決め付けず、利用できる調査手続を確認します。一方、調査や執行にも費用と時間がかかることを踏まえ、方針を相談します。

資料の原本は保管し、提出に使う写しとは分けて管理してください。

よくある質問

Q. 公正証書があれば家庭裁判所に履行勧告を頼めますか

A. 公正証書だけの合意は履行勧告の対象ではありません。ほかの履行確保の方法を検討します。

Q. 履行勧告をすれば必ず支払われますか

A. 強制力はありません。応じない場合には差押え等の別の方法を検討する必要があります。

Q. 相手の荷物を勝手に処分してよいですか

A. 新たな紛争になるおそれがあります。合意内容と適切な引渡し・明渡しの手続を確認してください。

Q. 養育費が未払なら親子交流を中止できますか

A. 自動的な交換条件ではありません。子どもの利益を中心に、それぞれの問題を検討します。

Q. 書面が見つからなくても相談できますか

A. 相談できます。取り決めた場所や時期、手元の写し等から必要な書類の確認を進めます。

参考資料(一次資料)

ご相談について

札幌手稲ポプラの丘法律事務所では、離婚に関するご相談を承っています。手元の資料とこれまでの経緯を基に、必要な手続と対応の順序を整理します。

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