配偶者の借金を離婚後も払うのか 契約名義と保証を確認する

離婚

離婚を考えるとき、配偶者の借金まで負担しなければならないのか不安になることがあります。まず確認するのは、借りた人、保証した人、借入れの目的です。夫婦であることだけで、相手の借金すべての返済義務を負うわけではありません。[1]

一方で、自分が連帯債務者や保証人になっている場合には、離婚によってその責任が当然になくなるわけでもありません。夫婦の間での負担の約束と、金融機関等に対する契約上の責任を分けて考えましょう。

この記事の内容

契約書で自分の立場を確認する

借入契約書、保証契約書、返済予定表、請求書を集め、債権者、契約日、借主、残高、返済期限を一覧にします。銀行の窓口へ一緒に行ったことと、法律上の保証をしたことは同じではありません。署名した書面の内容を確認します。

住宅ローンでは、借主が1人の場合、夫婦が連帯債務者の場合、別々のローンを組んだ場合などがあります。家の名義が半分ずつでも、借入れの形が同じとは限りません。登記とローン契約を対応させてください。

保証についても、単なる緊急連絡先と保証人は異なります。書面が見当たらない場合には、契約当事者として写しを取得できるか確認します。請求を受けたという理由だけで、その場で責任を認める書面へ署名しないようにします。

日常家事の債務という例外を知る

民法には、夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をした場合に、原則として他方も連帯して責任を負うという規定があります。ただし、家庭に関係しそうな支出なら何でも該当するという意味ではありません。[1]

生活の状況、支出の内容、金額、契約の経緯等を踏まえて検討します。趣味や投資、事業資金などの借入れを、結婚中に生じたという理由だけで日常家事の債務と決め付けることはできません。

別居の有無や時期、実際に誰の生活に使われたかも整理します。請求する側の説明と自分の認識が異なる場合は、契約書や入出金記録を基に相談してください。一般論だけで支払義務の有無を即断しないことが大切です。

離婚協議書だけでは債権者を拘束できない

夫婦の間で「今後は夫が全額返済する」「妻はローンを負担しない」と合意しても、それだけで銀行との契約が変更されるわけではありません。自分が借主や保証人なら、債権者に対する責任が残ることがあります。

保証から外れる、借主を変更する、借り換えるといった対応には、金融機関の承諾や新たな審査等が関わります。相手が必ず手続できると約束しても、実現できるとは限りません。合意前に可能性と必要条件を確認します。

夫婦間の約束に反して自分が返済した場合には、相手への請求が問題となることがあります。ただし、相手に資力がなければ回収は容易ではありません。書面の効力と現実の回収可能性を分けて考えてください。

借入金が何に使われたかを整理する

財産分与の話合いでは、借金の残高だけでなく、資金の使い道と対応する資産を確認します。住宅購入、生活費、事業、浪費などでは検討事項が異なります。夫婦の財産形成との関係を資料で示すことが重要です。[1]

例えば、住宅ローンの残高と自宅の価値は対応させて整理します。自宅を取得する人と返済する人が異なる案では、将来の延滞や売却時の問題も確認します。「家を渡す代わりに借金も全部渡す」という合意だけでは十分でない場合があります。

借入れが複数あるときは、毎月の返済額の合計だけでなく、元本残高、利率、完済予定、延滞の有無を確認します。返済額が小さく見えても完済まで長い場合があり、離婚後の生活費を圧迫する可能性があります。

身に覚えのない契約は早く確認する

自分が署名した記憶のない保証契約や借入れの請求が届いた場合は、書面を保存し、契約内容と作成経緯を確認します。印鑑を預けていたことや夫婦関係があることだけで、直ちに結論を出さないようにします。

請求元へ連絡するときも、分からない事実を認めたり、返済の約束をしたりする前に資料を確認してください。訴状や支払督促など裁判所からの書類には期限があるため、放置せず受け取った日も記録して相談します。

本人の信用情報を確認する方法が利用できる場合もありますが、それですべての債務が判明するとは限りません。保証、個人間の貸借、税金等を含めて、手元の資料と照らし合わせて整理します。他人になりすました照会はしないでください。

支払が難しいときは離婚と債務整理を一緒に考える

自分が負担する債務について返済が難しい場合には、離婚条件だけで解決できるとは限りません。収入、生活費、資産、債務を一覧にし、債務整理の必要性を早めに相談します。返済のための新たな借入れで状況を悪化させないことが重要です。

住宅を残したい、子どもの生活を維持したいなどの希望がある場合は、優先順位も伝えてください。相手への支払約束と金融機関への返済が重なり、実行できない条件になっていないかを確認します。

財産を相手へ移して債権者から隠せばよいという対応は避けるべきです。財産移転の内容によっては後に問題となり、離婚の合意自体の紛争にもつながります。財産と負債を開示して、適切な手続を検討してください。

札幌・手稲で離婚と借金の問題を抱えている方は、請求書と契約資料を持参してご相談ください。誰に対してどの責任があるかを整理し、離婚条件と返済方法を合わせて検討します。

請求書を受け取ったときの確認表

請求書には、差出人、契約番号、請求の根拠、元本、利息等、支払期限を記録します。債権が譲渡されたという通知がある場合には、その書面も保存します。知らない会社名だから放置するのではなく、元の契約とのつながりを確認してください。

反対に、配偶者から自分の借金だと言われただけで、内容を確かめずに返済を約束することも避けます。借主か保証人か、契約が成立しているか、支払った場合にどの債務へ充当されるかを確認します。身に覚えがない部分は、事実と推測を分けて説明できるようにします。

家計表では、自分が契約上払う債務、夫婦間の合意で負担する予定の額、責任の有無を争っている請求を別にします。全部を同じ返済額へ合算すると、何を交渉し、何を債権者へ確認すべきかが見えなくなります。

裁判所から書類が来た場合には、裁判所名、事件番号、受領日、期日等を控えます。相手と離婚協議中であることだけで裁判手続が止まるわけではありません。書面の名称が分からない場合は、表紙と封筒を含めて相談時に持参してください。

延滞がある場合は、いつからいくら不足しているかも別に記録します。相手が払うと約束した経緯と、債権者から自分へ請求が来ている事実を対応させてください。督促の頻度だけで優先順位を決めず、法的な責任と期限を確認する必要があります。

よくある質問

Q. 結婚中の借金は必ず夫婦で半分ですか

A. そうとは限りません。契約上の立場、目的、使途などを確認します。

Q. 離婚すれば保証人から外れますか

A. 自動では外れません。債権者との契約や承諾等を確認する必要があります。

Q. 協議書に相手が払うと書けば銀行の請求は止まりますか

A. 夫婦間の合意だけで銀行との契約は変わりません。自分の責任が残る場合があります。

Q. 契約書がないまま請求を受けています

A. 請求書を保存し、契約内容を確認します。裁判所からの書類は期限を確認して早急に相談してください。

Q. 離婚後の返済が難しそうです

A. 家計と資産・負債を整理し、離婚条件だけでなく債務整理の必要性も検討します。

参考資料(一次資料)

ご相談について

札幌手稲ポプラの丘法律事務所では、離婚に関するご相談を承っています。手元の資料とこれまでの経緯を基に、必要な手続と対応の順序を整理します。

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