2026年4月1日施行の民法改正により、離婚後の親権者について、父母双方を定める共同親権と、一方を定める単独親権の選択肢が設けられました。共同親権が必ず優先されるという意味でも、離婚後は一律に共同親権になるという意味でもありません。子どもの利益を中心に、個別の事情から判断します。[1][2]
親権という名称への賛否だけで話し合うと、子どもの日々の世話や学校の手続などが見えにくくなります。実際に誰が何を判断し、どのように情報を伝え、意見が合わないときにどう対応するかまで確認することが大切です。
この記事の内容
- 親権と一緒に暮らすことを分けて考える
- 合意の有無だけでなく合意までの事情も重要
- 虐待やDVの事情を軽く扱わない
- 共同親権でもすべての行為に2人の同意が必要ではない
- 改正前に離婚した家庭は自動では変わらない
- 相談前に生活の情報をまとめる
- 名称だけでなく実際の運用を確かめる
- よくある質問
親権と一緒に暮らすことを分けて考える
親権は、子どもの監護・教育や財産管理などに関わる法的な権利義務です。共同親権だからといって、子どもが父母の家を同じ日数ずつ行き来することが決まるわけではありません。住まい、監護の分担、親子交流、養育費は、それぞれ具体的に定める必要があります。[1]
例えば、平日は一方の親の家から学校へ通い、別居する親との交流を別途定める生活も、親権の名称だけで可否が決まるものではありません。通学時間、仕事、きょうだいの生活、子どもの年齢や気持ちを含めて検討します。
単独親権を定めた場合でも、それだけで他方の親との交流や養育費の問題がなくなるわけではありません。親権を養育費の支払や親子交流の交換条件のように扱わず、子どもの生活に必要な事項を一つずつ確認します。
合意の有無だけでなく合意までの事情も重要
協議離婚では、父母の話合いで親権者を定めます。話合いができない、合意がまとまらない場合は、裁判所の手続で定めることを検討します。相手から強く迫られて署名した場合など、表面上の合意だけでは問題を把握できないことがあります。
家庭裁判所は、父母と子の関係、父母間の関係その他の事情を考慮します。共同親権と単独親権のどちらかが、法律上一般的な原則とされているわけではありません。収入の多さだけ、子どもの性別だけで自動的に決まるものでもありません。[1][2]
話合いでは、普段の養育状況、父母の連絡方法、重要な判断を協議できるかを具体的に示します。「協力するつもり」という抽象的な言葉に加え、学校からの連絡をどう共有するか、急な入院時にどう連絡するかなどを考えると、実行可能性が見えてきます。
虐待やDVの事情を軽く扱わない
子どもへの害悪のおそれがある場合や、他方の親に対する身体的暴力その他の心身に有害な影響を及ぼす言動のおそれなどから、共同で親権を行うことが困難な場合には、裁判所は単独親権としなければならないとされています。単なる好みの問題として扱うことはできません。[1]
身体的な暴力だけが問題になるわけではありません。継続的な威圧、強い支配、連絡を通じた脅迫など、実際に共同の判断ができるかに関わる事情を整理します。いつ、どのような言動があり、子どもや自分にどのような影響が出たか、記録や相談歴を確認します。
安全のために避難している場合は、相手と直接協議することを無理に優先しないでください。居場所を明かさずに手続を進める配慮や連絡の窓口を相談します。資料の提出方法にも注意し、学校や医療機関の記載から住所が分からないかを確認します。
共同親権でもすべての行為に2人の同意が必要ではない
父母双方が親権者の場合、親権は原則として共同で行いますが、日常の監護・教育に関する行為や、子どもの利益のため急迫の事情がある場合など、一方が単独で行える場面が定められています。何でも相手の返答を待たなければならないという制度ではありません。[1]
ただし、重大な進学先の決定や転居などと、日々の世話を同じように扱うことはできません。個別の行為がどの区分に当たるか、監護者の指定など別の定めがあるかを確認します。「子どものことは全部自分が決める」という包括的な理解にも注意が必要です。
意見が合わない具体的な事項について、一方が単独で親権を行えるよう家庭裁判所に定めてもらう制度もあります。期限のある学校手続などでは、問題が起きてから放置せず、何についていつまでに判断が必要なのかを整理して相談します。
改正前に離婚した家庭は自動では変わらない
2026年4月1日より前に離婚し、単独親権となっている場合、施行日に自動的に共同親権へ変わるわけではありません。親権者の変更を希望する場合は、家庭裁判所の手続を検討します。父母が合意しただけで、法律上の親権者が変わるものではありません。[1][2]
変更の検討では、離婚時の事情だけでなく、現在の養育状況や子どもの利益を確認します。離婚後に安定している生活をどう維持するか、連絡体制に変化があったかなどを具体的に考えます。過去の合意への不満だけで、変更が当然に認められるとはいえません。
養育費や交流の合意書がある場合は、その内容も持参します。親権者の変更と併せて、どの事項に見直しが必要かを整理し、一つの問題の解決によって別の取決めまで自動的に変わると考えないようにしましょう。
相談前に生活の情報をまとめる
子どもの年齢、健康状態、学校、現在の居住先、日常の世話を担う人をまとめます。父母間の連絡ができている事項と、対立が続く事項を分けると、抽象的な対立から具体的な検討へ進みやすくなります。
例えば、送迎の時間は調整できても、医療の説明が全く共有されていない場合、その違いを記録します。連絡回数の多さだけで協力関係を評価せず、子どもに必要な情報が適切に伝わっているかを見ます。子どもを伝言役にしていないかも確認してください。
札幌・手稲で親権の話合いをする際は、結論を決める前に、養育体制と安全に関する事情を相談してください。制度の言葉だけでなく、子どもの生活を継続できる条件を考えることが重要です。
名称だけでなく実際の運用を確かめる
共同親権を検討するときには、学校からの連絡を誰が受けるか、重要な判断の相談をどの手段で行うか、返答がない場合にどう対応するかを具体的に考えます。平時に連絡が取れることと、意見が対立したときに協議できることは同じではありません。
例えば、進学の申込みに締切がある場合には、候補、費用、必要な回答期限を共有する方法を決めておくと話合いを進めやすくなります。ただし、私的な連絡ルールを定めれば、法律上必要な共同の判断や裁判所の手続がすべて不要になるわけではありません。[1]
単独親権の場合にも、養育費や親子交流などを別に検討する必要があります。共同か単独かの言葉を、親としての愛情や価値の評価と結び付けないことが重要です。子どもの状況と安全を中心に、実行できる連絡・養育の体制があるかを確認してください。
よくある質問
Q. 共同親権が法律上の原則ですか
A. 共同親権と単独親権のどちらかを一般的な原則とする定めではありません。子どもの利益から判断します。
Q. 共同親権なら養育費は不要ですか
A. 不要とはなりません。実際の監護や収入などを踏まえ、養育費を別に検討します。
Q. 共同親権なら半分ずつ一緒に暮らしますか
A. 同じ日数ずつ暮らすことが自動的に決まるものではありません。生活の方法を具体的に定めます。
Q. 以前の単独親権を話合いだけで変更できますか
A. 法律上の親権者の変更には家庭裁判所の手続が必要です。
Q. DVがある場合も直接話し合うべきですか
A. 安全確保を優先し、弁護士や裁判所を通じる方法を検討してください。
参考資料(一次資料)
- [1] 民法(現行条文)
- [2] 裁判所 家事事件Q&A
- 資料確認日 2026年9月23日
ご相談について
札幌手稲ポプラの丘法律事務所では、離婚に関するご相談を承っています。手元の資料とこれまでの経緯を基に、必要な手続と対応の順序を整理します。

