離婚したいと伝えても、相手が返事をしない、話合いの席に着かない、絶対に離婚しないと言う。このような状況では、同じ連絡を繰り返すだけで時間が過ぎてしまいがちです。次に必要なのは、離婚そのものへの反対と、条件への反対を区別し、適切な手続を選ぶことです。
相手が拒否すれば永久に離婚できない、というわけではありません。一方、自分が強く希望すればすぐ裁判で認められるとも限りません。協議、調停、訴訟では役割が異なるため、現在の争点と生活の状況を踏まえて考えます。
この記事の内容
- 何について合意できていないのか確認する
- 協議の限界と当面の生活を考える
- 調停では第三者を介して話し合う
- 訴訟では法律上の離婚原因が問題になる
- 証拠と交渉の記録を分けて保存する
- 手続を進める前に費用と生活への影響を確認する
- 離婚の結論と当面の対応を分けた予定表
- よくある質問
何について合意できていないのか確認する
相手の「離婚しない」という言葉の中には、夫婦関係を続けたいという意思のほか、自宅を失いたくない、子どもに会えなくなるのが不安、提案された金額に納得できない、といった事情が含まれることがあります。分かる範囲で反対の理由を整理します。
例えば、財産分与の対象が不明なまま全体を拒否されているなら、財産の資料を開示して条件を比較する余地があります。反対に、安全に話せない関係で理由を聞き出そうと直接面会を繰り返すことは適切でない場合があります。代理人や裁判所を通じる必要性を先に判断します。
こちらの提案も、離婚への同意と、お金や子どもの条件を分けて書きます。相手が何に答えればよいか分からない長文より、未解決の項目が分かる提案の方が、次の対応を判断しやすくなります。回答期限を設けても、期限を過ぎれば自動的に離婚が成立するわけではありません。
協議の限界と当面の生活を考える
話合いを続けるかどうかには、一律の回数や期間の決まりがあるわけではありません。連絡が取れているか、必要な資料が出るか、条件が具体化しているか、暴力や威圧がないかを見ます。進展の見込みが乏しい場合には、手続を変えることを検討します。
別居中の生活費や子どもの暮らしは、離婚の結論と別に対応が必要です。離婚の返答を待つ間も、婚姻費用の分担、子どもの監護や交流について問題が生じます。収入資料、日常の養育状況、既にしている支払を整理し、必要な申立てを相談します。[1]
相手を動かすために生活費を一方的に止める、職場へ連絡を繰り返す、私物を処分するなどの方法は、新たな紛争につながります。離婚の意思を伝えることと、不当な圧力をかけることは別です。今後の生活を守るためにも、連絡内容と方法を落ち着いて選びましょう。
調停では第三者を介して話し合う
直接の協議が難しい場合、家庭裁判所の夫婦関係調整調停を利用する方法があります。離婚そのもののほか、親権、子どもの養育、財産分与、慰謝料なども話し合うことができます。申立先や提出書類は裁判所の案内を確認します。[2]
調停では、自分の希望と根拠を整理して説明します。相手が離婚に反対しているからといって、最初からすべて無意味と決めつける必要はありません。何が争点かを明確にする機会にもなります。ただし、調停を申し立てれば相手が必ず同意するという制度ではありません。
相手が出席しない場合も、その欠席だけで離婚が成立するわけではありません。裁判所からの連絡や進行を確認し、次の対応を検討します。通知を受けた側も、無視すれば問題が消えると考えず、出席できない事情や自分の意見を適切に伝えることが重要です。
訴訟では法律上の離婚原因が問題になる
調停で解決できず、裁判による離婚を求める場合には離婚訴訟を検討します。原則としてまず調停を経るという流れです。離婚調停の不成立後に、自動的に離婚訴訟へ切り替わるわけではありません。[2]
民法770条は、不貞行為、悪意の遺棄、3年以上の生死不明、その他婚姻を継続し難い重大な事由を定めています。2026年施行の改正後の条文を確認して考える必要があります。古い解説にある離婚原因の一覧をそのまま使わないようにしましょう。[1]
裁判では、主張する事実と資料が重要です。別居の経過、関係修復に向けたやり取り、家族の生活状況などを整理します。「何年別居すれば必ず離婚できる」という一律の年数だけで判断できるものではありません。別居の長さ以外の事情も含めて見通しを検討します。
証拠と交渉の記録を分けて保存する
相手に送った提案、返答、調停での経過は、いつ何を話したか分かる形にします。証拠となるメッセージや写真は、日時と文脈を含めて元の状態を保存します。自分の評価や推測は、資料そのものと分けてメモします。
例えば「相手が離婚に同意した」と考えていても、実際の文面が「その条件なら考える」であれば意味が異なります。電話での発言についても、日時、参加者、話の流れを記録し、断片だけを強く解釈しないことが必要です。
資料を増やすために相手のアカウントへ無断で入る、居場所を違法に追跡するといった行動は避けてください。証拠の必要性だけで取得方法が正当化されるわけではありません。何が不足しているかを弁護士に伝え、適切な調査方法を検討します。
手続を進める前に費用と生活への影響を確認する
調停や訴訟には時間と負担がかかります。裁判所へ納める費用、資料の取得費用、弁護士へ依頼する場合の費用を確認し、現在の収支に入れて考えます。相手の反対が強いことだけを理由に、達成できる結果を保証する説明には注意が必要です。
離婚を急ぐ事情がある場合も、離婚後の住まい、養育費、年金分割、財産関係を置き去りにしないようにします。逆に、すべての資料がそろうまで生活費の請求や安全確保を待つ必要もありません。必要な問題を並行して扱うことで、長期化による負担を減らせます。
札幌・手稲で相手との協議が止まっている方は、これまでのやり取りと未合意事項を整理して相談してください。現在の段階に応じて、提案を作り直すか、窓口を変えるか、裁判所の手続へ進むかを検討します。
離婚の結論と当面の対応を分けた予定表
相手が離婚を拒否していると、結論が出るまで何も動かせないように感じることがあります。しかし、生活費の分担、子どもの養育、安全な連絡方法、財産資料の整理などは、離婚の成立を待たずに検討すべき問題です。何が今月中に必要で、何が長期の協議になるかを分けてください。
例えば、別居先の家賃が迫っている場合には、離婚理由の議論だけを繰り返しても支払は確保できません。婚姻費用について請求した経緯と収入資料を整理し、別の手続が必要かを相談します。住居の退去を求められている場合も、名義と契約内容を確認します。
離婚を拒否する相手の意向が変わると期待して、期限のある対応まで先延ばしにしないことが大切です。反対に、相手を説得するために生活費を断つ、職場へ押しかける、子どもを交渉役にする方法は、新しい問題を生みかねません。手続と日常生活の調整を分けて進めます。
よくある質問
Q. 相手が拒否したら離婚は不可能ですか
A. 不可能と決まるわけではありません。調停や、法律上の原因を踏まえた訴訟を検討します。
Q. 何年別居すれば必ず離婚できますか
A. 必ず認められる一律の年数はありません。別居の経過や家族の事情などを総合して判断します。
Q. 調停に相手が来なければ勝ちですか
A. 欠席だけで離婚は成立しません。調停の進行を確認し、その後の手続を検討します。
Q. 離婚訴訟中も生活費は問題になりますか
A. 婚姻が続いている間の費用について、離婚訴訟とは別に対応が必要なことがあります。
Q. まず相手の職場へ説得を頼んでよいですか
A. 私生活上の情報の拡散や過度な働きかけは別の問題を生みます。本人への連絡や代理人を通じる方法を検討してください。
参考資料(一次資料)
- [1] 民法(現行条文)
- [2] 裁判所 夫婦(離婚等)
- 資料確認日 2026年9月23日
ご相談について
札幌手稲ポプラの丘法律事務所では、離婚に関するご相談を承っています。手元の資料とこれまでの経緯を基に、必要な手続と対応の順序を整理します。

