別居したら生活費はどうする 婚姻費用を請求する前の確認

離婚

別居を始めた後、配偶者から生活費が振り込まれなくなった。離婚の話合いが長引き、貯金を取り崩している。このようなときは、離婚後の養育費とは別に、婚姻中の生活費である婚姻費用の分担を検討します。離婚が成立するまで待たなければ相談できない問題ではありません。

ただし、相手に求めたい支出をすべて足せば請求額が決まるわけではありません。双方の収入、子どもの人数と年齢、現在誰が何を支払っているかを整理することが出発点です。この記事では、生活を維持しながら請求を進める準備を説明します。

この記事の内容

婚姻費用と養育費を区別する

民法760条は、夫婦が資産、収入その他の事情を考慮し、婚姻から生じる費用を分担することを定めています。別居中の夫婦と未成熟の子の生活費などが問題になり、離婚後の子どもの養育費とは対象や期間が異なります。[1]

例えば、子どもと暮らしている親が家賃と食費を払い、別居した配偶者が給与を得ている場合、どちらの支出だけを見るのでもなく、家族全体の収入と扶養の状況を確認します。子どもがいない夫婦でも婚姻費用の問題は生じます。

離婚慰謝料を請求するか、財産をどう分けるかという話合いも別の問題です。「最後にまとめて清算する」という口約束だけでは、今月の生活を維持できないことがあります。緊急に必要な生活費と、離婚時に整理する財産関係を分けて進めましょう。

収入資料は数字の種類をそろえる

会社員の場合は源泉徴収票や給与明細、自営業の場合は確定申告書と関係資料が出発点になります。相手の収入を正確に知らないときは、以前の資料や把握している勤務先などを整理し、不明な数字を断定して書かないようにします。

手取り月収と額面の年収は同じ数字ではありません。給与所得者と自営業者では収入の見方も異なります。インターネットの算定表に当てはめる際、数字の種類を取り違えると見込み額が変わります。表は検討の手掛かりですが、住宅費、特別な医療費、収入変動などの事情も確認する必要があります。

最近転職した、休職している、歩合給が多いといった場合は、直近1か月の明細だけで年間収入を決めつけず、前年の資料と現在の状況を併せて示します。働けない事情がある場合も、その理由と見通しが分かる資料を整理します。

現在支払われている費用を一覧にする

毎月の現金の送金がなくても、相手が家賃、住宅ローン、保険料、学校費用を直接支払っている場合があります。何が生活費の分担として評価されるかは個別に検討しますが、まず事実を漏れなく出すことが重要です。

一覧には、支払日、費目、金額、支払った人、対象の月、確認できる資料を記載します。住宅ローンの返済と居住費の関係は単純ではありません。「ローンを払っているから婚姻費用はゼロ」「送金がないから何も受け取っていない」と一方的に結論を出さず、住んでいる人と返済の内容を確認します。

子どもの誕生日の贈物や臨時の小遣いも、月々の生活費と当然に同じ扱いになるとは限りません。逆に、受け取った生活費を一覧から除外すると未払額の計算が不正確になります。双方で認識が違う支払には、その旨を付記します。

請求した事実と時期を残す

婚姻費用をいつから求められるかは争点になり得ます。別居日まで必ず遡れるとも、申立日より前は一切請求できないとも一律にはいえません。生活費を求めた日、求めた内容、相手の返答を残し、早い段階で請求方法を相談することが大切です。

メールなどで連絡する場合は、生活費の分担を求めていることが分かる内容にし、離婚の非難と混ぜて曖昧にしないようにします。受信画面の一部だけでなく、日時や前後の文脈を含めて保存します。暴力や脅迫がある場合は直接の連絡を無理に行わず、代理人等を通じた方法を考えます。

例えば「子どもに必要なお金を考えてほしい」という表現だけでは、何を求めたか争いになることがあります。月々の生活費の分担を求めること、現在の支払状況、返答を希望する時期などを整理します。適切な請求額が分からない場合は、その計算のために収入資料を求めることも検討します。

話合いが難しいときは調停を検討する

婚姻費用について合意できない場合には、家庭裁判所の調停を利用する方法があります。申立先や必要書類を確認し、収入資料、家族の状況、支払の経過を提出できる形にします。婚姻費用の調停が成立しない場合は、審判へ進む仕組みです。離婚調停の不成立とは扱いが異なります。[2]

調停を申し立てた当日に生活費が入るわけではありません。手続中の支出を見積もり、利用できる支援や当面の支払方法も並行して考えます。切迫した事情がある場合は、その状況を具体的に伝え、必要な対応を弁護士に相談してください。

合意では、月額だけでなく、開始時期、支払日、振込先、未払分の清算、終了時期などを明確にします。「離婚の話がまとまったら払う」という条件では、生活費の安定につながらないことがあります。離婚成立時に養育費へどう切り替えるかも、別の取決めとして確認します。

金額が決まった後も入金を確認する

決定や合意ができたら、対象月と入金を対応させます。支払が足りない月、全くない月、まとめて振り込まれた月を分けておくと、その後の対応に使えます。現金で受け取った場合も、日付と金額が分かる記録を残します。

収入や扶養の状況に大きな変化があった場合は、金額の変更を検討する余地があります。ただし、支払う側が自分の判断だけで減額し、当然に未払がなくなるわけではありません。変更の理由と資料をそろえ、合意や裁判所の手続を検討します。

札幌・手稲で別居中の生活費に困っている方は、手元の収入資料と入金履歴を持って相談してください。相手の収入が不明な段階でも、必要な調査と当面の生活の見通しを一緒に整理できます。

支出を重ねて計算していないか確認する

相手が家賃や住宅ローンを直接支払っている場合、現金の送金だけを見て生活費が一切支払われていないと説明すると、実態とずれることがあります。誰が、どの契約について、いくら支払っているかを一覧にしてください。その支払を婚姻費用の算定でどう考慮するかは、内容と事情を踏まえて検討します。

例えば、子どもの学費を相手が学校へ直接振り込み、生活費だけ自分の口座へ入る家庭では、両方の支払を同じ表に記録すると確認しやすくなります。通常の支出と一時的な臨時支出を分け、同じ費用を二重に請求していないかを点検します。

一方で、相手が自分の資産形成のために支払っている金銭が、すべてこちらの生活費として評価されるとは限りません。支払名目だけで納得したり否定したりせず、契約、居住者、実際の利益を確認します。資料を基に整理すると、金額の議論と、いつから請求するかの議論を分けて進められます。

よくある質問

Q. 子どもがいなくても請求できますか

A. 婚姻費用は子どもの費用だけではありません。双方の収入や事情を踏まえて検討します。

Q. 自分から別居したら請求できませんか

A. 別居を始めた側かどうかだけでは決まりません。別居の理由など個別の事情を確認します。

Q. 相手の源泉徴収票がありません

A. 分かっている勤務先や過去の資料を整理し、必要な開示や調査の方法を検討します。

Q. 住宅ローンの支払はすべて差し引かれますか

A. 自動的に全額が差し引かれるわけではありません。居住状況や費用の性質を踏まえて判断します。

Q. 調停で決まっても払われない場合はどうしますか

A. 入金記録と調停調書を確認し、履行勧告や強制執行など、状況に合う手段を検討します。

参考資料(一次資料)

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札幌手稲ポプラの丘法律事務所では、離婚に関するご相談を承っています。手元の資料とこれまでの経緯を基に、必要な手続と対応の順序を整理します。

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