相続人は誰か 戸籍を集めて家族関係を確認する方法

相続

相続の話合いを始める前に、誰が相続人なのかを確認する必要があります。普段会っている家族の範囲と、法律上の相続人の範囲は必ずしも一致しません。前の婚姻の子、養子、先に亡くなった親族の子などが関係することもあります。

記憶だけで家族関係を確定すると、後から相続人が判明し、協議や金融機関の手続をやり直す原因になります。戸籍を集める作業は、単に必要書類をそろえることではなく、相続人と死亡の順序を資料で確かめるための調査です。[1]

この記事の内容

配偶者と血族の相続順位を区別する

法律上の配偶者は、民法の定める相続人となります。これと一緒に相続する血族については、子、直系尊属、兄弟姉妹という順位を確認します。子がいるのに、親やきょうだいも当然に同じ立場で参加するわけではありません。[1]

内縁の配偶者や、養子縁組をしていない配偶者の連れ子は、同居していたという事情だけで法律上の配偶者や子として相続人になるわけではありません。一方、遺言による遺贈など、法定相続人でない人が財産を取得する場合は別にあります。

長年疎遠だったこと、葬儀に来なかったこと、介護をしなかったことだけで相続人の資格が消えるわけでもありません。感情的な評価と法律上の身分関係を分け、まず協議に必要な当事者を確定することが大切です。

亡くなった方の戸籍を過去へたどる

一般に、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍をたどり、子や婚姻、養子縁組等の記載を確認します。現在の戸籍だけでは、転籍や改製の前に記載されていた家族関係を十分に確認できないことがあります。[2]

戸籍、除籍、改製原戸籍という名称の違いに戸惑う場合は、相続手続に使うことと、出生から死亡までつながる資料を集めたいことを窓口へ伝えます。手元の戸籍がどの期間を示しているか、抜けた期間がないかを確認してください。

本籍地と住んでいた住所は同じとは限りません。住所だけを手掛かりに請求先を決めず、手元の戸籍や住民票等で確認できる情報を整理します。郵送請求や広域交付等を使える範囲は、請求者の立場と書類の種類に応じて窓口へ確認します。

子や養子と代襲相続を確認する

子が複数いれば、それぞれについて身分関係と生死を確認します。前の婚姻の子も、親が再婚したことだけで相続人ではなくなるわけではありません。家族に知られていない子の記載が見つかった場合も、無視して手続を進めないようにします。[1]

子が亡くなった時期によっては、その子の子などが代襲相続人となる問題があります。相続人になるはずだった人が、被相続人より先に亡くなったのか、後に亡くなったのかを区別してください。後に亡くなった場合には別の相続が重なることがあります。[1]

相続放棄をした人の子が、放棄だけを理由に当然代襲するわけではありません。死亡、相続放棄、欠格や廃除では取扱いが異なります。「本人が相続しないなら子が代わる」と一括りにせず、その理由と資料を確認します。[1]

子がいない場合は必要な戸籍が増える

子やその代襲者がいない場合には、父母や祖父母などの直系尊属を確認します。親等の近い人を優先するため、父母と祖父母がいつでも全員一緒に相続するわけではありません。死亡の事実も戸籍等で確認します。[1]

直系尊属もいない場合などには、兄弟姉妹の相続が問題になります。この場合、亡くなった方の戸籍だけでなく、父母等の戸籍をたどる必要が生じ、収集の範囲が広くなることがあります。父母の一方だけが共通するきょうだいにも注意します。

兄弟姉妹が先に亡くなっている場合の代襲は、子の系統と同じように何代も続くわけではありません。おい・めいと、その子を混同しないようにします。家系図が広がって判断が難しい場合は、途中の資料のまま専門家へ相談してください。[1]

相続開始後の死亡と放棄を別に記録する

例えば父の死亡後、遺産分割前に子が亡くなった場合には、子が一度取得した相続上の地位が次の相続へ引き継がれる問題があります。単にその子を家族関係図から消して、残ったきょうだいだけで話し合うことはできません。

相続放棄をしたと聞いた場合も、親族間の「いらない」という発言と、家庭裁判所で受理された相続放棄を区別します。受理を示す書面、対象となる被相続人、手続をした人を確認してください。別の相続についての放棄でないかも大切です。

相続人の一覧には、死亡日、放棄の確認資料、未確認の事項を別欄で記載します。家族の説明が後から変わった場合は、古い情報を消すだけでなく、何の資料によって訂正したか残すと、経緯を整理しやすくなります。

戸籍と住所の調査を混同しない

戸籍で相続人と分かっても、現在連絡が取れるとは限りません。住所の確認には戸籍の附票や住民票等が関係する場合がありますが、誰でも無制限に取得できるわけではありません。請求できる立場と必要な理由を確認します。

連絡先が分からない人を探す際は、親族だからといって他人のアカウントへ入ったり、勤務先へ相続内容を広く伝えたりしないようにします。必要な調査を適切な方法で進め、取得した住所等の情報は協議や手続に必要な範囲で扱います。

住所は分かるが返答しない人と、行方が分からない人では検討する手続が異なります。郵便の配達結果、連絡した日、返答の内容を残してください。連絡がつかないことだけで、本人が相続を放棄したと扱うことはできません。

家族関係図と提出資料を整える

家族関係図は、被相続人を中心に、配偶者、子、必要に応じ父母や兄弟姉妹を結びます。氏名、生年月日、死亡日、戸籍で確認した範囲を記載し、同姓同名や名前の変更があっても区別できるようにします。

取得した戸籍には、発行元、発行日、示している期間を控えます。提出先ごとの必要書類や原本還付の扱いも確認してください。金融機関、登記、家庭裁判所では求める資料が同一とは限らず、1か所で使えた書類だけで全部足りるとはいえません。

法定相続情報証明制度の利用によって、戸籍の束を繰り返し提出する負担を減らせる場合があります。ただし、一覧図の写しは誰がどの財産を取得したかという遺産分割の合意そのものを証明するものではありません。制度の目的と提出先での利用可否を確認します。[2]

相談時には、完成した家族関係図がなくても、取得済みの戸籍をそのまま持参できます。自分で読めない部分を推測して埋めるより、どこまで確認でき、どこが不明かを伝える方が正確です。財産の分け方を決める前に、当事者を漏れなく確認しましょう。

戸籍の原本に直接書き込みをするより、確認用の写しや別のメモに整理すると、提出用の資料を保ちやすくなります。追加取得の際は、既に持っている書類の範囲を窓口へ伝え、重複と抜けを確認してください。家族から借りた原本については、返却先と返却日も記録します。

よくある質問

Q. 前の婚姻の子も相続人ですか

A. 親の再婚だけでは相続関係は消えません。戸籍で身分関係を確認します。

Q. 葬儀に来なかった人を協議から外せますか

A. その事情だけでは外せません。法律上の相続人の範囲を先に確定します。

Q. 相続放棄した人の子が必ず代わりに相続しますか

A. 放棄だけを理由に代襲相続するわけではありません。ほかの相続人との関係を確認します。

Q. 最新の戸籍1通だけで足りますか

A. 過去の家族関係を確認できないことがあります。出生から死亡までのつながりと必要な追加資料を確認します。

Q. 連絡がない人は相続する意思がないと扱えますか

A. 扱えません。住所や連絡の状況を整理し、調停等の手続を検討します。

参考資料(一次資料)

ご相談について

札幌手稲ポプラの丘法律事務所では、相続に関するご相談を承っています。手元の資料とこれまでの経緯を基に、必要な手続と対応の順序を整理します。

トップへ戻る