遺言書を見つけたらどうするか 開封と検認と手続の進め方

相続

家族が亡くなった後、引出しや金庫から遺言書らしい封筒が見つかることがあります。中身を急いで確かめたい場合でも、封印のある遺言書をその場で開けるのは避け、現在の状態を保って必要な手続を確認してください。[1][2]

遺言には種類があり、全てに検認が必要なわけではありません。また、検認を受けても有効性が確定するわけではありません。発見時の対応から、裁判所での手続、実際の相続手続へ進むまでの順序を説明します。

この記事の内容

発見した状態を変えずに保存する

まず、見つけた日、場所、発見した人、封筒や書面の状態を記録します。封筒の表裏や保管場所を撮影する場合も、封印を破ったり、紙に書き込みを加えたりしないようにしてください。原本は紛失しない場所で保管します。

自分に不利な内容が書かれているかもしれないと思っても、廃棄や隠匿をしてはいけません。遺言書の偽造、変造、破棄、隠匿等は相続上の重大な問題につながり得ます。疑問がある場合は、現状のまま専門家へ相談します。[1]

封筒に何も書かれていない場合や、遺言かどうか分からないメモの場合も、独断で不要な紙と扱わないようにします。本文、日付、署名、添付資料の関係を後から確認できることが大切です。

既に開いていた場合には、その状態を記録して保管します。間違って開封してしまった場合も、元どおりに偽装したり、日付を作り直したりせず、開封の経緯を正確に説明してください。開封したから全ての手続が不要になるわけではありません。

遺言の種類と保管先を確認する

公正証書遺言は、家庭裁判所の検認を要しません。公証役場で作成された書面なのか、自宅で本人が書いたものなのかを確認します。単に立派な封筒に入っている、第三者が署名しているという外観だけで種類は決まりません。[2]

法務局の自筆証書遺言書保管制度で保管されている遺言も検認不要です。保管証や通知が見つかった場合は、相続人等として遺言書情報証明書を取得するなど、法務局の手続を確認します。[3]

自宅で保管されていた通常の自筆証書遺言などについては、検認が必要になります。手元にあるのが原本かコピーか、ほかにも遺言があるかを確認し、判断に迷う場合は家庭裁判所や専門家に書面の状態を伝えます。[1][2]

遺言が複数見つかった場合は、全て保存してください。日付が新しいものだけを残せばよいとは限りません。新旧の内容が抵触する範囲や撤回の指定などを検討するため、古いものも重要な資料になります。[1]

検認は有効性を判定する手続ではない

検認では、遺言書の形状、日付、署名、訂正の状態等を確認して記録に残します。相続人へ存在や内容を知らせ、後の偽造や変造を防止するための手続です。「裁判所のお墨付きで有効になった」という意味ではありません。[2]

したがって、方式が欠けている遺言が検認によって当然に有効になるわけではありません。反対に、検認の場で不満を述べれば直ちに遺言が無効になるわけでもありません。有効性や解釈の争いは別の対応を検討します。

筆跡が違うと感じる場合、作成時の能力に疑問がある場合、別の遺言の存在を知っている場合は、根拠となる資料を保存します。疑いだけで書面を処分せず、どの点を問題にするのか整理して相談してください。

検認と遺産分割も別です。検認期日に相続人が集まったからといって、その場で全ての財産の分け方まで決める手続ではありません。遺言の内容を確認した後、必要な実行や協議へ進むことになります。

申立先と必要な戸籍を調べる

遺言書の保管者又は遺言書を発見した相続人は、遺言者の死亡を知った後、遅滞なく検認を請求する必要があります。申立先は遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。自分の住所地と一致するとは限りません。[1][2]

申立書のほか、遺言者の出生から死亡までの戸籍、相続人の戸籍などを準備します。相続関係によって必要な範囲が異なるため、裁判所の案内で確認してください。申立前に入手できない戸籍がある場合も、対応方法を裁判所へ相談します。[2]

相続人の住所が古い、連絡先が分からないという場合には、分かっている情報と調査状況を伝えます。連絡したくない相続人を意図的に書かないことは避け、必要な通知が行われるように整理してください。

遺言書の提出や期日への持参方法は、裁判所の指示を確認します。郵送する資料と、当日に必要な原本を混同しないようにします。費用は申立手数料のほか郵便料等があるため、申立先の最新案内を確認してください。

検認期日の流れと開封の扱い

申立て後、裁判所から相続人へ検認期日の通知が行われます。申立人以外の相続人が出席するかどうかは各人の判断に委ねられ、全員がそろわなくても手続は行われます。遠方の相続人がいるから必ず延期されるとは限りません。[2]

封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人又は代理人の立会いの下に開封することとされています。家族全員が同意しているから自宅で開けてよいと自己判断しないでください。[1]

申立人は遺言書や裁判所から指示された物を準備します。原本と一緒に別の封筒やメモがあった場合も、何が付属していたか分かるようにしてください。疑問点は発見の経緯と区別して説明します。

検認後、遺言を執行するための検認済証明書等の手続を確認します。原本、証明書、写しを区別して保管し、金融機関等へ提出する際には原本の返却方法も確認します。書類の所在が分からなくならないよう、提出先を記録しておくと便利です。

検認を待つ間もほかの期限を確認する

検認の申立てをしたからといって、相続放棄の熟慮期間や税務申告の期限が当然に止まるわけではありません。遺言の確認と並行して、債務の調査や期限の管理を進める必要があります。[1]

遺留分の問題がありそうな場合も、遺言を知った日、資料を受け取った日、相手の取得内容を整理します。有効性を争う検討や検認の進行だけに集中し、別の権利行使の期間を見落とさないようにしてください。

遺言執行者が指定されている場合は、その人の就任や連絡状況を確認します。相続人がそれぞれ独自に口座を解約したり財産を売却したりする前に、権限と進め方を整理することが大切です。[1]

不動産の名義変更や預金の払戻しは、遺言の内容と必要書類に応じて進めます。相談には、遺言書の写し、封筒等の記録、相続関係、財産一覧、裁判所からの書類を持参してください。発見、検認、実行を順に整理すると、次に行う作業が明確になります。

金融機関ごとに提出書類が異なる場合は、必要書類の一覧を作ってください。原本を同時に複数の窓口へ出せないことも考え、返却予定と次の提出先を調整します。

よくある質問

Q. 家族全員でなら封印された遺言を開けてよいですか。

A. 家庭裁判所での開封が必要です。家族の合意だけで開けず、現在の状態を保って手続を確認してください。

Q. 公正証書遺言も検認しますか。

A. 公正証書遺言は検認不要です。法務局の保管制度で保管された自筆証書遺言も不要です。

Q. 検認が済めば無効を争えませんか。

A. 検認は有効性を確定する手続ではありません。有効性に争いがある場合は、別の法的対応を検討します。

Q. 相続人が全員来ないと検認できませんか。

A. 全員の出席は必要ありません。申立人は裁判所の指示を確認し、必要な原本等を準備してください。

Q. 誤って開封したので捨てるしかありませんか。

A. 捨てずに保存してください。開封の経緯を正確に説明し、必要な検認等の手続を確認します。

参考資料(一次資料)

ご相談について

札幌手稲ポプラの丘法律事務所では、相続に関するご相談を承っています。手元の資料とこれまでの経緯を基に、必要な手続と対応の順序を整理します。

トップへ戻る