薬局経営で地味に揉めやすいのが、管理薬剤師のポジションです。「責任は管理薬剤師」「でも決定権は経営者」という状態になると、現場は疲弊し、退職の引き金になります。
この記事では、管理薬剤師の責任が“押し付け”にならないように、薬局としてどう体制を作るべきかを整理します。
1. まず結論:「責任」だけ渡して「権限」を渡さないと崩れる
管理薬剤師に求められる役割は大きい一方で、予算・人員・運用の裁量がないと、現場の改善ができません。結果として「注意されるのは管理薬剤師」「直す力はない」という不合理が発生します。
2. 現場で起きがちな“押し付け”パターン
- 監査・安全対策の責任だけ管理薬剤師に寄せる
- 人員配置・シフトの決定は経営者が握る
- 設備投資(監査機器、棚配置改善)が通らない
- ルールを作っても、現場が従わないのに是正権限がない
3. 体制づくりのコツ:管理薬剤師の“権限の範囲”を言語化する
おすすめは、管理薬剤師が決めていいこと/相談が必要なこと/経営者判断のことを分けることです。
(1)管理薬剤師が決めてよい領域(例)
- 監査手順、ダブルチェックの運用
- ヒヤリハット共有の方法
- 棚配置、注意表示、導線の改善
- 新人教育の手順(OJTの型)
(2)相談が必要な領域(例)
- シフト変更(人件費に影響するもの)
- 採用・配置転換
- 重大事故時の対外対応
(3)経営者判断の領域(例)
- 大きな設備投資
- 報酬・賃金制度
- 店舗戦略、営業時間の大幅変更
4. 管理薬剤師を守る「ルール化」3点
(1)事故・クレームのエスカレーション基準
何を管理薬剤師で止め、何を経営者・顧問へ上げるかの基準を作ると、心理的負担が減ります。
(2)「是正できる」予算・時間の確保
安全対策は、手順だけでは回りません。棚改善や表示物、教育時間など、最低限のコストが必要です。
(3)指示系統の一本化
「経営者が現場に口を出す」「別の上司が別指示を出す」があると、管理薬剤師が板挟みになります。指示系統を一本化します。
5. 小規模薬局向け:現実解は「役割分担の紙一枚」
立派な規程より、A4一枚の役割分担表が効きます。管理薬剤師が抱える領域と、経営者が責任を持つ領域を、見える化するだけで揉めにくくなります。
まとめ:管理薬剤師が機能すると薬局の安全が上がる
管理薬剤師は「責任を取らされる人」ではなく、「安全と品質を上げる中心」です。権限と裁量を適切に渡し、役割分担を言語化することで、現場が回りやすくなります。
