卸・ITベンダー・清掃・在宅の委託先など、薬局は日常的に外部と取引しています。ところが実務では、契約書が「見積書と請求書だけ」「メールだけ」で回っていることも多いです。
契約が薄いと、トラブル時に責任の押し付け合いになり、結局「泣き寝入り」になりがちです。この記事では、取引基本契約がないと起きやすい事故と、最低限入れるべき条項をまとめます。
1. 取引基本契約がないと起きる典型事故
- IT障害:レセコン・電子薬歴が止まったのに、復旧期限も補償も不明
- 追加費用:「それは別料金」と言われ、揉めても根拠がない
- 情報漏えい:委託先のミスで漏えい、責任範囲が曖昧
- 作業品質:清掃や保守が雑でも、是正要求の根拠がない
- 解約:解約したいのに縛りが強く、高額な違約金を請求される
2. 「発注書・請求書」だけでは足りない理由
発注書や請求書は、価格や数量は分かっても、トラブル時のルール(責任、解除、補償、秘密保持)が弱いことが多いです。事故が起きて初めて「決めてなかった」が露呈します。
3. 薬局の取引で最低限入れるべき条項(基本セット)
(1)業務範囲(どこまでやるか)
作業内容、納期、保守範囲、対応時間、緊急対応の有無などを明確にします。ここが曖昧だと揉めます。
(2)秘密保持・個人情報(委託先管理)
- 患者情報・社内情報の取扱い
- 再委託の条件(勝手に下請けに出させない)
- 事故時の報告義務と協力義務
(3)損害賠償(上限・範囲)
「損害賠償は請求書1か月分まで」など、相手のひな型で上限が低すぎることがあります。こちらが守るべき情報が大きい場合は要注意です。
(4)解除(いつ・どうやってやめられるか)
- 契約期間(自動更新の有無)
- 中途解約の条件
- 重大な違反があった場合の解除(即時解除)
(5)料金・追加作業(別料金のルール)
追加作業が発生する条件、見積もり提示、事前承諾の要否を決めておくと、請求トラブルが減ります。
4. 相手のひな型にサインする前のチェックポイント
- 責任が相手にほぼ無い条項になっていないか
- 解約縛り(自動更新・違約金)が重すぎないか
- データ返還・削除のルールがあるか(IT系は特に重要)
- 再委託・海外保管などの条件が不明確でないか
まとめ:取引基本契約は「事故が起きた時の保険」
契約は、平時は読まれません。でも事故が起きた瞬間に「会社を守る盾」になります。卸・IT・清掃・委託先など、取引が増えるほど基本契約を整える価値が上がります。
