はじめに|「法務はトラブルが起きてからでいい」と思っていませんか?
薬局経営をしていると、日々の業務は調剤・服薬指導・スタッフ管理・行政対応などで非常に多忙です。
その中で、法律の問題については、
- 何かあったら弁護士に相談すればいい
- うちは小規模だから大丈夫
- 今まで特に問題は起きていない
このように考え、後回しにされがちです。
しかし実務上はっきり言えるのは、薬局経営において企業法務を軽視することは大きなリスクになるということです。
そもそも「企業法務」とは何か
企業法務とは、
会社(薬局)がトラブルに巻き込まれないよう、事前にルールを整え、問題が起きた場合も被害を最小限に抑えるための仕組み
を指します。
薬局経営における企業法務には、次のような分野が含まれます。
- 労務管理(雇用契約、残業代、解雇、退職対応など)
- 患者対応(クレーム、事故、損害賠償)
- 行政対応(指導、監査、改善報告)
- 契約関係(医薬品卸、ITベンダー、業務委託)
- 個人情報保護、コンプライアンス
- 事業承継、M&A
つまり、薬局経営そのものが企業法務と密接に結びついていると言えます。
薬局経営で法的トラブルが起きやすい理由
1.人を雇っているから
薬局は必ず薬剤師や事務スタッフを雇用します。
この点が、法的トラブルが起きやすい最大の理由です。
- 残業代請求
- 問題社員への対応
- 突然の退職
- 解雇・雇止めを巡る紛争
労務トラブルは一度こじれると、金銭的負担だけでなく、経営者の精神的負担も非常に大きくなります。
2.患者対応には常にクレームリスクがある
どれだけ注意して業務を行っていても、
- 調剤ミス
- 説明不足と受け取られる対応
- 感情的なクレーム
を完全にゼロにすることはできません。
初動対応を誤ると、単なるクレームが法的紛争へ発展することがあります。
3.行政という強い相手と向き合う必要がある
薬局は一般企業と異なり、保健所や厚生労働省による指導・監査を受けます。
行政対応を誤ると、
- 指導が長期化する
- 経営に重大な影響が出る
- 最悪の場合、指定取消につながる
といったリスクもあります。
「トラブルが起きてから」では遅い理由
多くの薬局で、次のような流れが見られます。
- 問題が起きる
- 自分で何とかしようとする
- 対応を誤り、事態が悪化する
- 弁護士に相談する
この段階では、すでに選択肢が大きく制限されていることが少なくありません。
企業法務の本質は、トラブルを未然に防ぎ、起きても被害を最小限に抑えることにあります。
薬局に必要なのは「予防法務」
予防法務とは、
- 就業規則や契約書を整備する
- 判断に迷った段階で専門家に確認する
- 継続的に相談できる体制を持つ
といった、経営の安全装置です。
実際に、顧問弁護士がいる薬局と、いない薬局とでは、トラブル発生時の結果が大きく異なります。
顧問弁護士は「裁判のため」だけの存在ではありません
顧問弁護士は、
- 「この対応で問題ないか」という事前確認
- 問題社員対応の進め方の整理
- 行政対応の方針確認
- 文書・メール内容のチェック
など、経営判断を支える存在です。
まとめ|企業法務はコストではなく経営を守る投資です
企業法務は、
- トラブルを防ぎ
- 判断ミスを減らし
- 経営者の負担を軽くする
ためのものです。
問題が起きてから慌てる経営ではなく、問題が起きにくい仕組みを作る経営へ。
これが、これからの薬局経営に求められる考え方です。
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