問題社員対応:注意→配置転換→懲戒→解雇まで“薬局向け”実務手順

薬局経営で一番しんどいのは、「人が足りない」のに「問題社員がいる」状態です。感情で動くと、たいてい逆転負けします。大事なのは順番記録

この記事では、薬局の現場で実際に起きがちなケースを前提に、注意→配置転換→懲戒→解雇までの“現実的な進め方”をまとめます。

1. まず大前提:いきなり懲戒・解雇は危ない

「遅刻が多い」「ミスが多い」「態度が悪い」——不満は分かるのですが、いきなり重い処分に飛ぶと、後で争われたときに厳しくなります。

薬局は現場が忙しくて口頭注意で済ませがちですが、後から紛争になると「記録がない=注意していない」と見られやすいです。

2. 問題のタイプを分ける(ここが設計図)

問題社員対応は、タイプでアプローチが変わります。

  • 勤務態度型:遅刻・欠勤・無断欠勤・勤務中の私用スマホ
  • 能力型:監査手順を守れない、ミスが多い、指示が通らない
  • 協調性型:暴言、職場の空気を壊す、ハラスメント
  • ルール違反型:個人情報持ち出し、金銭・在庫の不正、規程違反
  • 健康・メンタル型:体調不良が背景、休職・配慮の論点が出る

「能力不足」なのか「規律違反」なのかで、必要な証拠も段取りも変わります。

3. 最初の一手:面談と“記録”で土台を作る

まずは面談→指導→改善期限という形にします。おすすめは次の3点セットです。

(1)事実を具体化する

NG例:「態度が悪い」「やる気がない」

OK例:「◯月◯日、患者対応中に語気が強くクレームが発生」「◯月◯日、監査チェックを省略」

(2)期待する行動を明確にする

  • 出勤は始業前に着替えを完了
  • 監査はチェックリストに沿って実施
  • クレームは責任者へ即エスカレーション

(3)改善期限を切る

「次から気をつけて」では弱いです。2週間/1か月など期限を切って再評価します。

面談メモは短くていいので残しましょう(日時、場所、参加者、指導内容、本人の反応)。

4. 改善しない場合の“次の手”

状況に応じて、次のカードを検討します。

A. 配置転換・業務変更(できる範囲で)

同じ業務で同じミスを繰り返すなら、業務の切り分けで改善することがあります。ただし職種・勤務地の範囲を超えると揉めやすいので慎重に。

B. 始末書・顛末書

注意を“形”にする手段です。「何が問題で、今後どうするか」を本人の文面で残すと、後で効きます。

C. 懲戒(戒告・減給・出勤停止など)

懲戒は就業規則に根拠が必要で、行為の悪質性に見合う必要があります。軽い違反でいきなり重い処分にすると争われやすいです。

5. 解雇の前に必ず確認すること(薬局の地雷ポイント)

  • 就業規則に懲戒・解雇事由が書かれているか
  • 指導・注意の記録が積み上がっているか
  • 改善機会(教育・再配置など)を与えたと言えるか
  • 同種事案で他の職員はどう処分しているか(不公平だと弱い)
  • 体調不良・メンタル不調が背景にないか(休職・配慮の論点)

6. 薬局で特に注意したいケース別ポイント

(1)遅刻・欠勤が多い

出勤簿・シフト・連絡履歴を揃えます。無断欠勤は段階を踏みやすい一方、病気など事情が絡むと繊細になります。

(2)監査手順違反やミスが多い

処分にするなら、ミスの具体内容、再発防止指導、改善しない経過を積み上げます。

(3)個人情報の持ち出し・SNS投稿

比較的重く扱いやすい類型です。まず証拠保全(スクショ・ログ)→本人聴取→再発防止(権限停止・教育)を優先。感情で決めず順番で淡々と。

まとめ:問題社員対応は「順番」と「記録」で勝てる

問題社員対応は相手を論破するゲームではなく、「こちらが適切に運用していた」記録を作るゲームです。忙しい薬局ほど後回しになりがちですが、早めに型を作ると将来の紛争コストが激減します。

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