有給休暇トラブル:時季変更権・計画付与・買い取りNGの境界線

薬局の有給トラブルは、だいたい「忙しい」「人が足りない」「急に休まれると回らない」から始まります。気持ちは分かるんですが、運用を間違えると不満→退職→紛争のルートに入りやすいです。

この記事では、薬局でよく揉める時季変更権計画付与有給の買い取りの境界線を、現場で使える形にまとめます。

1. まず前提:有給は「取らせる」義務がある

有給は「取ってもいい」ではなく、一定の要件を満たせば労働者が取得できる休暇です。さらに年5日の年次有給休暇の取得義務(いわゆる5日義務)もあり、会社側は放置しにくい領域です。

2. 「忙しいからダメ」は基本通らない(時季変更権の限界)

会社側に認められるのは、例外としての時季変更権です。ざっくり言うと「その日に休まれると事業の正常な運営を妨げる」場合に、別の日に変更できる制度です。

時季変更権が“効きやすい”場面(薬局っぽい例)

  • その人がいないと法令上・運用上どうしても回らない(代替が不可能)
  • 同日に複数人が重なり、シフトが成立しない
  • 繁忙のピークで、事前に代替手配が間に合わない

時季変更権が“効きにくい”場面

  • 慢性的な人手不足を理由にしている(恒常的に回らない)
  • 代替要員の検討をしていない(手配努力がない)
  • 単に「気に入らない」「前例がない」

実務のコツ:時季変更権を使うなら、「なぜその日は無理か」「代替をどう検討したか」「いつなら可能か」をセットで説明・記録しておくと揉めにくいです。

3. 計画付与(計画年休)は、薬局と相性がいい

薬局はシフトで動くので、計画付与をうまく使うと現場がかなり楽になります。年に数日でも「全員ここは休み/交代で休み」を決めておくと、取得義務対応にもなります。

計画付与を回すコツ

  • 繁忙期は避け、比較的落ち着く週に寄せる
  • 「全員一斉」ではなく「グループ交代制」も検討する
  • 年初にだいたいの枠だけ決めて、月次で微調整する

4. 有給の買い取りは基本NG(ただし例外はある)

有給は「休ませる」ための制度なので、原則として買い取り運用は推奨されません。雑に買い取ると、後から「本当は休みたかったのに取らせてもらえなかった」と争点になりやすいです。

現場で起きがちな危険パターン

  • 有給申請を断って「買い取るからいいでしょ」と言う
  • 退職時に未消化分をまとめて買い取る前提にしている
  • 買い取りが“常態化”している

実務の結論:買い取りで解決しようとするより、「計画付与」や「取得ルール」で回す方が安全です。

5. 薬局向け:揉めないための運用ルール(テンプレ)

  • 有給申請は原則、○日前まで(例:3日・7日)
  • 急病等は当日申請OK(ただし連絡手順を固定)
  • 時季変更が必要な場合は、代替日候補を提示
  • 取得状況を月次で見える化(5日義務の取りこぼし防止)

まとめ:有給は「制度」より「運用」で揉める

薬局の有給トラブルは、法理屈よりも運用のまずさで起きます。シフト業態は計画付与と相性がいいので、早めに型を作ると現場の不満が減ります。

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