薬局の個人情報漏えい:よくある原因と「事故対応マニュアル」最小セット

薬局は、個人情報の中でも特にセンシティブな情報(健康・服薬・家族構成・住所等)を扱います。だからこそ、漏えいが起きるとダメージが大きい。

一方で、漏えいは「悪意」よりもうっかりで起きることが多いです。この記事では、薬局で多い原因と、起きてしまった時に慌てないための事故対応マニュアルの最小セットをまとめます。

1. 薬局で多い漏えい原因(あるある)

  • 誤交付・誤渡し:別の患者の薬・明細・薬情を渡す
  • 呼び出し・会話:待合で大きな声、他人に聞こえる位置で説明
  • FAX誤送信:医療機関・施設への送信ミス
  • 紙の放置:カウンター、プリンタ、ゴミ箱、シュレッダー漏れ
  • 端末:共有ID、ログアウト忘れ、画面の覗き見
  • 持ち出し:在宅資料を私物バッグで持ち運び、紛失
  • 委託先:清掃・IT・配送など外部から漏れる

2. 予防の基本:薬局は「紙」と「権限」で決まる

(1)紙対策(最優先)

  • プリンタから出た紙は“置かない”運用(出力=即回収)
  • ゴミ箱はシュレッダー前提(一般ゴミ混入を防ぐ)
  • 在宅資料の持ち出しルール(最小限/持ち帰らない)
  • 薬情・明細の渡し間違い防止(指差し確認、二重チェック)

(2)権限対策(電子薬歴・レセコン)

  • 共用IDをやめ、個別IDにする
  • 権限は必要最小限(管理者権限を配らない)
  • 離席時ロック/自動ログアウト
  • 退職・異動時の権限停止(当日中)

3. 漏えいが起きた時の「初動」チェックリスト

初動は、謝る前に“事実”を押さえるのがコツです。謝罪は大事ですが、内容がズレると二次被害になります。

Step1:拡大防止(今すぐ)

  • 誤交付なら回収に動く(連絡・訪問等)
  • FAX誤送信なら受信側へ破棄依頼・再拡散防止依頼
  • 端末なら権限停止・パスワード変更
  • 紙なら回収・シュレッダー・保管場所確認

Step2:事実確認(30分以内に骨格を作る)

  • いつ、どこで、誰が、何を、どれだけ
  • 漏れた情報の種類(氏名、住所、服薬、病名推測など)
  • 対象人数(1人か複数か)
  • 外部流出か、店内での閲覧か

Step3:記録化(必ず残す)

「事故記録票」を作り、時系列で残します。後で説明が必要になった時、ここが命綱になります。

4. 事故対応マニュアルの最小セット(薬局向け)

完璧な規程より、回るマニュアルが重要です。最低限これだけ用意すると強いです。

  • 事故発生時の連絡ルート(現場→責任者→本部/顧問)
  • 拡大防止の手順(誤交付、FAX、紛失、端末、委託先)
  • 事故記録票のテンプレ(日時・場所・内容・対象・対応)
  • 対外説明の基本方針(個別事情は慎重に、二次漏えい防止)
  • 再発防止の決め方(ルール・教育・設備の見直し)

5. 委託先が絡む場合の注意

IT・清掃・配送・在宅支援など、委託先が絡むと事故が複雑になります。

  • 秘密保持・再委託制限・事故時報告義務の有無
  • 委託先の管理体制(教育、アクセス権限、保管)
  • 事故時の協力義務(ログ提出、原因調査、再発防止)

まとめ:漏えいは「起きない」より「起きても拡大させない」

漏えいゼロを目指すのは大事ですが、現実には“うっかり”は起きます。だからこそ、紙と権限を固め、初動と記録の型を作っておく。これが薬局の現実的な勝ち筋です。

PAGE TOP