在宅・施設対応は、薬局の成長領域ですが、関係者が増える分だけトラブルも増えます。揉めやすいのは、法律論の前に運用の曖昧さです。
この記事では、在宅・施設対応で特に揉めやすい「同意」「指示」「記録」「責任分担」の落とし穴を、事前に潰す視点で整理します。
1. 揉める原因は「誰が決めた?」が曖昧なこと
在宅では、医師、看護、ケアマネ、施設職員、家族、薬局が関与します。ここで起きがちなのが、
- 誰の指示で動いたのか分からない
- 誰が同意を取ったのか分からない
- 誰が記録を残すのか曖昧
- 事故が起きた時に責任の押し付け合い
2. 同意:現場で一番抜けやすい“入口”
在宅・施設連携では、個人情報の共有や訪問業務の前提として、同意の整理が重要です。
同意で揉めやすい例
- 家族は同意したが、本人は納得していない
- 施設職員が「OKと言ってました」で進んでしまう
- 情報共有範囲(誰に何を伝えるか)が曖昧
現実的な対策
- 同意の範囲を“目的別”に整理(情報共有、訪問、連携先)
- 同意の取得者・日時・内容を記録
- 本人意思が確認しづらい場合の手順を決める(家族・後見等)
3. 指示:医師・施設・家族の「お願い」を混同しない
在宅は「お願い」が多いです。お願いをそのまま業務にすると、責任が曖昧になります。
揉めやすい指示の例
- 服薬調整の判断を薬局に丸投げされる
- 残薬処理・破棄の判断が曖昧
- 緊急時の対応(休日・夜間)を誰が担うか不明
対策:役割分担を文書化
- 薬局の業務範囲(できること・できないこと)を明確化
- 医師判断が必要な事項は“確認ルール”を決める
- 緊急連絡ルート(誰に、何を、どの順で)を固定
4. 記録:在宅は「記録が薄い」と事故る
在宅・施設対応は、後から説明が必要になる場面が多いです。記録がないと、善意でやったことが裏目に出ます。
最低限残すべき記録
- 訪問日時・対応者
- 服薬状況(残薬、飲み忘れ、体調変化)
- 連携内容(誰と何を共有したか)
- 医師への照会・回答内容
- トラブル・ヒヤリハット(再発防止の材料)
5. 責任分担:事故が起きた時の“決め事”が必要
誤配送、保管ミス、服薬ミス、紛失、クレームなど、事故は起きます。大事なのは「起きない」より「起きた時に揉めない」こと。
連携契約・委託契約で押さえるべき点
- 事故時の報告フロー(一次対応者、連絡先)
- 費用負担の原則(誰が何を負担するか)
- 個人情報事故時の協力義務(ログ提出、調査)
- 再発防止の実施者(教育、運用変更)
まとめ:在宅は「同意・指示・記録・責任分担」を先に固める
在宅・施設対応のトラブルは、現場の曖昧さから生まれます。入口の同意、動き方の指示、証拠になる記録、事故時の責任分担。この4点を最初に整えると、在宅は伸ばしやすくなります。
