調剤過誤や業務ミスは、ゼロにする努力が大前提ですが、現実には起きます。大事なのは「起きた瞬間の順番」です。順番を間違えると、患者さんへの被害が拡大し、説明が破綻し、信用が落ちます。
この記事では、ミス・事故が発生したときに、薬局がまず守るべき対応の順番を整理します。
1. 最優先は安全:患者さんの健康被害の防止
- 誤った薬の服用を止められるか(連絡・回収)
- 必要なら受診・救急相談を案内
- 医師へ連携(処方内容・状況を共有)
ここはスピードが勝負です。
2. 次にやる:事実確認(時系列を固める)
謝罪は大切ですが、事実がズレると二次災害になります。まずは骨格だけでも固めます。
- いつ、どの処方で、何を、どう間違えたか
- 患者さんが服用したか、どこまで服用したか
- 誰が関与したか(調剤・監査・交付)
- 同様の誤りが他にもないか(横展開チェック)
3. 記録:事故記録票を“事実ベース”で作る
後で必ず説明が必要になります。感想ではなく、事実を時系列で書きます。
最低限の記録項目
- 日時・場所
- 処方の概要(特定しすぎない範囲で)
- 誤りの内容(何が違ったか)
- 患者さんへの影響(服用状況、体調)
- 連絡・連携(医師、家族、施設等)
- 回収・再交付の対応
4. 説明と謝罪:個人攻撃を避け、組織として対応
現場では「誰のせいだ」となりがちですが、事故対応は個人攻撃にすると再発防止が崩れます。患者さんへの説明は、組織としての責任で行うのが基本です。
説明の基本
- 起きた事実(分かっている範囲)
- 患者さんへの影響と、今の安全確保
- 今後の対応(再交付、医師連携)
- 再発防止に向けた方針
5. 再発防止:原因を“仕組み”に落とす
再発防止は「気をつける」では足りません。
- 似た薬名・類似包装の対策(棚配置、注意表示)
- 監査手順の見直し(ダブルチェックの設計)
- ピーク時の導線(焦りを減らす)
- ヒヤリハット共有(同種ミスの潰し込み)
まとめ:事故対応は「安全→事実→記録→説明→再発防止」の順番
調剤過誤は、起きた後の順番で結果が変わります。安全確保を最優先に、事実を固め、記録を残し、組織として説明し、仕組みで再発を防ぐ。この順番を型にすると、現場の混乱が減ります。
