「ダブルチェックしてるのにミスが起きる」——薬局ではよく聞きます。原因は、チェックが“手順”になっていても、現場では“作業”になっていない(=形だけ)ことが多いです。
この記事では、監査(チェック)を形骸化させず、事故を減らすための運用設計をまとめます。
1. まず結論:ダブルチェックは「時間」と「役割」がないと崩れる
ピーク時にチェックを増やすほど、現場は急ぎ、チェックが雑になります。ダブルチェックを回すには、
- チェックに必要な時間を確保する
- 誰がチェックするかを固定する
- “止める権限”を明確にする
が重要です。
2. 形骸化する典型パターン
- 監査担当が他業務(電話・会計・説明)で中断される
- 「忙しいからOK」で流す空気ができる
- チェック項目が多すぎて、結局見ない
- 新人が監査を担当し、止められない
3. 事故が減る監査の“最小チェック項目”
チェック項目は増やすほど良さそうに見えますが、現実には逆です。最小限で確実に見る項目を固定します。
最小チェック例(運用の骨格)
- 患者取り違え(氏名・生年月日等の確認)
- 薬剤取り違え(薬名・規格・数量)
- 用法用量(回数・日数・頓用の有無)
- 禁忌・重複・相互作用の要点(重点だけ)
4. “止められる監査”にするための工夫
(1)監査担当をピーク時間は固定する
監査は中断が最大の敵です。ピーク時間は「監査に専念する人」を置くのが一番効きます。
(2)監査の“中断ルール”を作る
- 監査中は電話を取らない
- 監査中は会計に呼ばれない
- 中断したら「最初からやり直す」基準を決める
(3)似た薬対策は“棚と表示”で潰す
人の注意力に頼ると負けます。棚配置、注意表示、色分け、類似品の分離など「仕組み」で潰します。
5. ヒヤリハットの共有で「同じ事故」を消す
事故が減らない薬局は、同じ種類のヒヤリハットが繰り返されています。共有は「犯人探し」ではなく、「次に同じ事故を起こさない仕組み」に落とすためにやります。
まとめ:監査は“人の頑張り”ではなく“中断しない設計”
ダブルチェックは、忙しい時ほど崩れます。監査担当の固定、中断ルール、棚配置、最小チェック項目の固定。これだけでも「形だけ監査」から脱却し、事故が減りやすくなります。
